豫洲短板産業株式会社さまについて
- 会社名
- :豫洲短板産業株式会社
- 設立
- :1933年7月1日
- 所在地
- :本社・工場;大阪市、支店;松山市
- 従業員数
- :140名
- 業種
- :主に産業機器や車両用金属の仲卸専門商社
豫洲短板産業株式会社 概要 主に産業機器や車両などに使われるステンレス、チタン、アルミ、鋼合金の仲卸を行う専門商社。“ステンレス鋼材のデパート”をコンセプトに、常時1万点の在庫を揃え、自動倉庫や最新コンピュータシステムの導入により即応体制を構築し、顧客の細分化されたニーズに応えている。2010年より中国・上海に現地法人を設け、今後のグローバル展開を目指す。本社・工場;大阪市、支店;松山市、従業員数;140名、創業;1933年。
森興産株式会社 概要 豫洲短板産業株式会社のホールディング会社。 グループ会社における社内情報共有の仕組み作りをはじめ、経営企画の役割も担っている。本社;大阪市。
事例紹介もくじ
- リグアにGoogle Apps導入支援を依頼
- Google Apps活用方法
- 目的は場所に縛られない業務環境と全社員参加型の会社運営の実現
- 柔軟性とコストがGoogle Appsを選んだ理由
- 通信環境の整備に伴い情報共有の仕組みを再構築
- 実際にリグアが運用するシステムだから安心して導入出来た
- 社内ポータル構築までの経緯
- Google Apps導入の効果
- リグアの情報力と対応力を評価
- 今後のビジョン
豫洲短板産業株式会社では、全社員140名分のGoogle Appsアカウントを取得し情報共有の仕組み作りに取り組んでいます。
社内ポータルサイトの構築もほぼ完了し、2012年1月から本格運用をスタートします。
ここまでの経緯と、今後のビジョンについて、同社代表取締役社長・森晋吾氏と、ホールディング会社・森興産株式会社の代表取締役・森隼人氏にお話しを伺いました。
御社がリグアに委託している業務内容を教えてください。
豫洲短板産業・工場内に保管される鋼材
弊社はGoogle Apps導入支援を委託しています。
リグアのGoogle Apps導入支援は、Google社が提供する有料のクラウドサービス「Google Apps for Business」の活用をサポートするサービスです。
具体的なサービス内容は、アカウント取得、メールサーバー移行・各種設定登録、社内ポータルサイトの構築、IT顧問、運用支援コンサルティングです。
Google Appsを導入したのは2010年4月。
現在は、社内ポータルサイトの構築がほぼ終わり、2012年1月から運用を開始します。これによって、社内における情報共有システムが本格稼働します。
──“Google Appsの活用方法を教えてください。”
Google Appsには60種類以上の機能がありますが、その中で弊社が主に活用しているのは、(1)Gmail、(2)Googleカレンダー、(3)Googleビデオ、(4)Googleドキュメントです。それぞれの使い方は次の通りです。
(1)Gmail
社内外におけるメール送受信。総務部門、営業部門、製造部門の管理者が利用しています。特に、中国への長期出張が多い社長の利便性が高まりました。
(2)カレンダー
スケジュールの共有。社長の出張予定や会議の日程・出欠予定などに活用しています。
(3)Googleビデオ
社内の記録動画を共有しています。社員大会(社員全員参加による年1回の業績報告会)、社内の勉強会・報告会、本社で行う朝礼などを動画に残しています。本社の朝礼は、10時出勤の社員や松山支店の社員が閲覧しています。
(4)Googleドキュメント
カタログ、議事録、規定類を保管するファイルサーバー代わりに活用しています。
カタログは営業担当者が外出先から閲覧します。会議録は、全社員に公開しています。 また、会議の議案やレジメをアップしてタブレットPCで閲覧しながら会議を進めることで、ペーパーレス化にもつながっています。
弊社は現在、Google Appsアカウントを、本社、工場、松山支店の全社員分140アカウントを取得し運用中です。
──“Google Appsを導入した目的を教えてください。”

豫洲短板産業株式会社 代表取締役社長 森晋吾氏
第一の目的は、主に出張が多い私が、場所に縛られずリアルタイムに業務を遂行できる環境を構築することでした。
以前は、社内にいなければメールを見ることも出来ず、会社の情報が伝わって来ませんでした。
また、私が出張などで外出している間は、稟議が止まってしまいました。
そのような状況を変え、社外にいても稟議書に目を通し、報告を受け、決済を下したり指示を出したり、またメールを確認して返信をしたり、社内にいる時と同じように業務を遂行出来る環境を作りたかったのです。
第二の目的は、社員全員で情報を共有できる環境の構築です。
弊社では現在、従来のトップダウン型の会社運営から、全社員参加型の会社運営へと転換を図っています。その中で、社員一人ひとりに会社の運営に参加する意識・姿勢を持ってもらうために、社内のあらゆる情報を共有できる環境が必要でした。
業務の中でパソコンやタブレットPC、携帯端末などを使わない社員でも、会社の方針や動向を把握する必要はあります。これまでそのような社員には情報が届きにくい環境でした。
特に製造現場ではパソコンを置いて固定のネットワークを組むことが困難なため、これまでは部長クラスでも容易に情報にアクセス出来ませんでした。
しかし現在は、ワイヤレスLANとタブレットPCを組み合わせることで、そのような状況を改善することが出来ました。
さらにクラウドサービスのGoogle Appsなら自宅のPCや個人が所有するスマートフォンからもアクセス可能です。
Google Appsのアカウントを社員全員に付与することで、その気さえあれば知りたい会社の情報に誰もがアクセス出来る環境が実現しました。
なぜ、全社員参加型の会社運営へと転換を図る必要があったのですか。
人数が増えるに従いトップダウン型の意思決定では、社員の意識を統一することが困難になってきました。これからは、どれだけ高いモチベーションで働いてもらえるかが会社の経営を左右すると考えています。
──“情報共有を目的としたクラウドサービスは他にもありますが、Google Appsを選んだ理由を教えてください。”
(1)柔軟性、(2)コストの2つです。
(1)柔軟性
Google Appsには60の機能があります。この機能を組み合わせて、自社に合ったシステムを柔軟に構築することが可能です。そして会社の変化に応じてカスタマイズしていくことも出来ます。
(2)コスト
1アカウント500円/月で運用することが出来るため、社員全員分のアカウントを取得することが可能です。それによって全社員で情報を共有するという弊社の目的を達成することが可能となりました。
この2点が最大の理由です。
さらにGoogleサイトを使って、各アプリケーション上の情報や、ブログ、SNSへの投稿を集約した社内ポータルサイトの構築が可能です。
ポータルサイトを構築することで、情報の検索性が高まり、必要な情報へ手軽にアクセスすることが可能となります。
──“Google Apps導入以前、社内で情報を共有するためのシステムは構築していましたか”

工場内ではタブレット端末を使用。
まず、拠点ごとにファイルサーバーを持ち、議事録などの文書管理をしていました。端末の設置やネットワークを敷設しにくい工場では使用出来ないため、総務部門中心に使用していました。
また、2つのグループウェアを導入し活用していました。
1つ目は、LotusNotesをベースにしたグループウェアです。主に掲示板として使用していました。
2つ目は、サーバー・インストール型のグループウェアです。各部門の管理者がメーラーとスケジュール機能のみ運用していました。前者は開発コストが嵩むため機能追加が困難でした。後者はライセンス料が高く全社員分のアカウントを取るまでには至りませんでした。
従来、以上のようなシステムを運用していましたが、ブロードバンド化が進みワイヤレス通信が便利になってきたことで、データベースの一本化なども含め、社内情報共有システムの再構築を検討しました。工場では会議録の閲覧にEvernoteの活用を試していました。
──“動画はどのように活用していたのですか。”
動画は、6年ぐらい前に社員大会を記録し始めたことをきっかけに、社内の行事を全て録画するようになったのですが、それをCDなどの記録メディアに残すことは出来ても、自由に閲覧できない状況でした。この動画をもっと有効に活用したいと思いリグアに相談した際に、Google Appsを紹介され、導入に至りました。
──“他のサービスとの比較検討はしましたか。”
いいえ、していません。動画の管理方法について相談すると、Google Appsをご案内いただき、実際にリグアが自社で運用している社内ポータルサイトを見せてもらいました。
リグアの社内ポータルサイトでは、メールやスケジュール、動画、ドキュメントの他、稟議、回覧、社長ブログやTwitterのログなどもありました。
それを見て、経営者が日頃発信するメッセージを含めた会社の情報が一か所に集約されることで、業務の効率化だけではなく、経営理念や行動指針の統一などに活かせると考えました。
また、状況に応じて機能が追加され、常に進化していました。
弊社にもこのシステムをこのままそのまま導入したいと考え、導入支援を依頼しました。そのような経緯があったため、他のサービスは検討していません。
──“リグアとの取引は、以前からあったのですか。”
弊社とリグアとの取引は、2010年の年初、TV会議システムを構築してもらったことから始まりました。リグアは業務オペレーションのコンサルティングなどを行う会社で、業務効率化や社員研修のノウハウを豊富に蓄えた会社です。ある経営者同士の勉強会で知り合い、弊社からリグアに相談し、取引に発展しました。
リグアが構築したテレビ会議システムは家庭用のテレビゲーム端末PlayStation3を活用したもので、低コストかつ高品質なシステムです。
通常、ハイエンドなテレビ会議システムは、拠点ごとに導入コストが100万円以上、月々の通信料は10万円以上かかります
。リグアが構築したテレビ会議システムは、そのようなハイエンドなシステムと遜色のない品質ですが、導入コストは3分の1以下です。しかもインターネット回線を使うため、通信料はほとんどかかりません。
これまでは数か月に1回、松山支店の代表が1名、本社の会議に参加することしか出来ませんでしたが、これによって拠点間の合同会議の開催がしやすくなりました。
このテレビ会議システムも、もともとリグア社内で使っていたもので、実際に通信しているところを見せていただいた上で、安心して導入することができました。
そのような背景があり、以前から検討していた情報共有の方法を相談したところ、Google Appsの活用例を見せていただきました。
──“旧来のシステムからGoogle Appsへの移行はどのように進みましたか。”

森興産株式会社代表取締役 森隼人氏
旧来システムからGoogle Appsへの移行は、使っている社員に移行によるストレスがかからないよう、慎重に段階を追って行いました。
特にメールは日常業務に深く浸透しているめ急に移行するのは困難です。従来メールソフトはOutlookを使用していましたので、最初からGmailに直接ログインして使うのではなくOutlookにGmailアカウントを設定し、従来通りOutlook上で運用するところからスタートしました。
また、最初から140名全員で使うのではなく、管理部門を中心とする30アカウントからスタートし、半年かけて全社員に拡大していきました。
──“移行にあたって苦労した点はありましたか。”
全社的にGoogle Appsの利活用を浸透させる過程で苦労しました。というのは推進メンバーを任命しているのですが普段の業務を兼任しているためなかなか前に進みづらい状態でした。
そこで、当グループの経営企画部門を担う森興産の森社長に推進役を担ってもらい、全社員分のアカウントを取得するところまで進みました。そこからさらにレベルアップを図っていくために、リグアの研修『Google Apps実践塾』(以下、実践塾と表記)を受けました。
──“実践塾ではどのようなことを行ったのですか。”
実践塾では、アカウント登録の流れ、メールの使い方、各種設定方法などといったGoogle Appsの基本から日常業務の中での具体的な活用方法まで一通り覚えました。
管理部門中心に選抜したメンバーと希望者の20名弱が参加し、3か月間で6回の講習を受けながら、日々の業務の中でドキュメントに会議のレジメや議事録をアップしたり、iPadを活用して会議をペーパーレス化したり、日常業務の中に取り入れて行きました。
──“Google Apps導入の効果を教えてください。”
導入効果は5つあります。
(1)外出先でも業務が遂行できるようになった
社外でも社内と同じ環境でメールチェックして、返信することが出来るようになり、大変便利になりました。また、社外から報告書や稟議書に目を通し、決裁を下したり、指示を出したりすることが出来るため安心して長期出張が出来ます。
(2)会議進行がスマートになった
会議中、タブレットPCでGoogleドキュメントにアップしたレジメや経営データにアクセスし閲覧できるため、事前に資料を用意する必要がなくなりました。ペーパーレス化にも繋がり、文書管理が楽になりました。
(3)全社的な情報共有が可能となった
これまで会社の運営に関する情報にアクセスすることが困難だった製造部門のスタッフも、動画や各種ドキュメントにアクセスし閲覧することが可能となりました。
(4)拠点間に一体感が生まれてきた
拠点間の情報のやりとりは、以前は電話と議事録だけでした。そのような環境下では伝えきれない情報も多く、一体感のある会社運営は出来ていませんでした。
先行して導入したテレビ会議システムに加え、Google Appsで朝礼の動画などの情報をリアルタイムで共有することで、一体感が生まれました。テレビ会議システムは会議だけではなく、日常の業務連絡などにも活用しています。
(5)社員の意識向上
ITリテラシーの向上と会社運営への参加意識の向上が進みました。
まず、製造部門社員の意識変化がありました。製造部門の部長クラスにはタブレットPCを配布しましたが、それを見て、一般社員の中からも、個人の端末を持ち込んでGoogle Appsの情報にアクセスする者が出てきました。
また、実践塾のセミナーと、日常業務での実践を繰り返した結果、実践塾に参加したメンバーからさまざまなアイデアが出始めました。そのアイデアを一元管理し、優先順位を決めて進めて行くために、社内にIT推進委員会を設置し、現在、本格的に活動しようとしています。
──“ITリテラシーの向上によって、特に製造部門ではどのような効果をもたらすと考えていますか。”
今後、社員のモチベーションを保つためには情報の共有は欠かせません。経営方針や工場の運営方針を把握することは、仕事に対するモチベーションを維持し、生産効率の向上に確実につながります。
弊社ではこれまで顧客との接点である受発注および流通の面では先進的にシステム化に取り組んできましたが、今後は、社内のマネジメントにも情報システムの活用が必要だと考えています。そのためには、製造部門でも、iPadやクラウドサービスを使いこなす必要があります。

グループ間の連携でプロジェクトを推進している。
──“リグアに対する評価を教えてください。”
まず、情報量の多さと、情報のスピードに圧倒されます。例えば機能追加のニーズが発生した際に相談すると、それはこのような方法があるとか、今は出来ないがもうじき出来るようになるなどすぐに回答があります。
Google社のカンファレンスに参加したことがありますが、そこで初めて発表されたという最新動向も、リグアを通して知っていることばかりでした。そのため取り組みも早いです。
また、弊社側の事情で進捗がストップしている時でも、積極的な提案をして、プロジェクトを前に進めてくれます。決してほったらかしにせずきちんとフォローしてくれるところはありがたいです。
これまでのお付き合いの中で感じることは、リグアは非常に柔軟な会社です。良いと思ったことは積極的に取り入れています。その様子を見たり聞いたりしていると、私たちも多くの刺激を受けます。
──“今後のビジョンをお話し下さい。まず豫洲短板産業様としてのビジョンをお願いします。”
豫洲短板産業としては、当面はアジア全域を網羅した鋼材の流通会社を目指しています。
その第一歩として上海に現地法人を作りましたが、今後はさらに拠点を増やしていく計画です。その中でITの活用はさらに推し進めて行くべき課題です。1つのマイルストーンとして社内ポータルサイトの構築まで辿りつきました。その過程で会社全体のITリテラシーが向上し、情報共有の道筋は見えてきました。ここからさらに進化するためにも、継続してリグアのサポートをお願いしたいと考えています。
──“では、森興産様としてのビジョンをお話し下さい。”
Google Appsは、業種や会社の規模に関わらず活用できるシステムです。
リグアの活用事例を見て感動するのは、会社の状況に応じてカスタマイズできる柔軟性です。豫洲短板産業においては、今後、IT推進委員会がアイデアを出し合って活用方法を発展させていくことになります。
その取組が成功した際には、その成功ノウハウをグループ全体や、普段から密接な関係にある協力会社との間で共有し活用する計画です。それによって、私たちを取り巻くネットワーク全体のさらなる発展に貢献していきたいと考えています。
豫洲短板産業様、森興産様、お忙しい中有り難うございました。 ※写真右は、弊社コンサルティング事業本部・松林
※ 豫洲短板産業株式会社のWebサイト ※ 取材日時 2011年12月